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Nr. 533 November 2025
さて、今回はドイツとスイスにおける原子力発電による放射性廃棄物の中間貯蔵施設や最終処分場について話題になっています。
原子力発電所で電気をつくると、多くの放射性廃棄物が発生します。しかしながら、本当の大きな問題が発生するのは、原子力発電所が廃止されるときです。チョルノービリの原子炉事故以来、ほとんどの人々は原子力発電所での発電がいかに危険であるかを理解するようになりました。そのため、スイスだけでなく、ドイツにおいても、原子力発電所は徐々にすべて廃止されつつあります。しかしながら、それらは非常に多くの放射性廃棄物を残し、その廃棄物は非常に長い間、非常に危険なままです。
そのような状況ではそれらを一時的にどこかに保管するだけでは十分ではありません。これらの廃棄物が最終的に留まることができる、適切な最終処分場を探さなければなりません。そこで、50年以上前から、そのような最終処分場のための場所を探し始めており、スイスでは、すでに地表から1キロメートルの深さにある厚さ100メートルの粘土層を選定しました。そこはドイツ国境から2キロの場所です。
そこでは、まず問題がないかどうかを観察するために、深い穴を掘りました。これを「長期観測システム(Langzeit-Beobachtungssystem)」と呼びますが、このことを話題にする場合、略してLZBと言います。ドイツでは、スイスに比べ遙かに遅れています。ドイツ連邦政府は、最終処分場の候補地が決定されるのは、2050年までは期待できないとしています。その後、その候補地がまず承認されなければならず、さらにそこに危険のない形でそのような最終処分場を建設するためには、さらに数十年かかるだろうとみられています。
これは、危険な廃棄物が今世紀末を超えても、現在ある場所、つまり特別に安全が確保された貯蔵施設に留まらなければならないということを意味します。それらのほとんどは、すでに廃止された原子力発電所のすぐ隣にあります。特に危険な廃棄物は、貯蔵施設の中にある1,750個の特別に設計された容器に保管されています。
最終処分場が見つかるまでの間、中間貯蔵施設が必要です。特に適した最終処分場を探すのに時間がかかればかかるほど、中間貯蔵施設における安全上のリスクは大きくなります。
すべての原子力発電の廃棄物は、最終処分場に運ばれるまでの間、中間貯蔵施設にとどまることになっています。それらの中間貯蔵施設はドイツ全土に分散しています。その内の14カ所は、既に廃止された原子力発電所の敷地内にあり、そこではこれらの放射性廃棄物の大部分が発生しました。現在中間貯蔵施設の近くに住んでいる人は、おそらく今後の人生を、高レベル放射性廃棄物の近くで過ごさなければならないでしょう。
ブレーマーハーフェン(Bremerhaven)近郊にあるウンターヴェーザー(Unterweser)原子力発電所は2011年に停止されました。7年後にその解体作業が始まりましたが、「解体」という言葉を使う代わりに、まるでその場所に何かを建てるかのように「より美しく」聞こえる「再構築(Rückbau)」が使われています。実際のところ、取り壊し・解体の様子はまだ見られません。原子炉のドームは今も平らな地形の中にそびえ立っていますが、内部では発電に使われた設備が徐々に撤去されています。この作業は2040年までに完了することになっています。その後にそこにまだ残るのは、放射性廃棄物のための中間貯蔵施設です。
2001年9月11日のニューヨークでのテロ攻撃の後、人々は中間貯蔵施設においても、テロ行為や戦争による攻撃に対する安全対策を更に強化する必要があると痛感しました。複数の検査、通過ゲート、そして重い扉を通って、まるでそこに重警備刑務所があるかのようにようやく貯蔵ホールに入ることができます。進入路は分厚いコンクリートブロックで封鎖されています。追加の安全対策として、防護壁の設置も含まれています。
戦争行為があった場合には、中間貯蔵施設の保全・防護には軍の支援が投入されるべきであり、警察による支援も同様です。すべての中間貯蔵施設は40年間の認可を受けており、これらの認可は今後20年以内に失効します。認可を更新するには、最新の科学技術の水準に基づいて安全性を審査しなければなりません・・・。
今回、スイスでは現在、運転開始から40年を経過した原子力発電所が4基稼働している一方で、ドイツは原子力発電所を停止・廃止していますが、それぞれの国における放射性廃棄物の最終処分場に関して紹介されています。それによりますと、最終処分場に関してはスイスが一歩先んじており、既にドイツ国境近くの場所を選定しました。ラジオ放送によれば、3万ページにもおよぶ書類の審査が当局により行われており、最終的には2029年に国民投票により決定されるとのことです。一方、ドイツにおいては、最終処分場の選定にはまだ多くの時間を要し、2050年以降だろうとのことです。
また、中部電力のホームページの情報によると、原子力発電所の停止・廃止を決定していないものの、既にフィンランド、スウェーデン、フランスが最終処分場を決定しているとのことです。フィンランドについては2013年に小泉元首相が視察したことがニュースになりましたので、私も記憶していましたが、他にも決定している国があるとは知りませんでした。尚、アメリカにおいてはネバダ州のユッカマウンテンがかつて有力候補でしたが、政治的理由で中断され、現在は低・中レベル廃棄物の処分場として使われており、高レベル廃棄物の恒久的処分場は確定していないとのことです。
ところで、日本での状況を調べてみましたが、ドイツ同様最終処分場の選定までには今後長い時間がかかるようです。ただ、原子力発電を廃止したドイツと異なるのは、日本においては原子力発電の発電比率が東日本大震災時の東京電力福島第一原子力発電所事故以来大きく低下した(電源構成別発電電力量の資料によりますと、原子力発電の割合は2010年には25%でしたが、2014年にはほぼゼロになり、その後徐々に増えましたが、2022年には6%にとどまっています)ものの、廃止には至っていません。最終処分場の決定に関しては、日本は、スイスよりも数歩遅れているだけでなく、ドイツよりも一歩遅れていると言えるかもしれません。ドイツ以外に原子力発電を停止・廃止した国としては、イタリアやリトアニアが該当するようですし、ベルギーやスペインもこ今後段階的に廃止するようですが、世界的に見れば原子力発電の停止・廃止の国はまだ少数派のようです。今後世界の原子力発電は、化石燃料による発電が一因とも言われる気候変動の問題もある中で、どのようになっていくのでしょうか。
さて、日本での最終処分場の選定ですが、調べてみたところ、次の4段階を経る必要があるとのことです。つまり、
1. 文献調査(現在3町村で進行中)
北海道の2町村が、国の要請に応じて調査を受け入れています。また、2024年5月には原子力発電立地自治体としては初めて、佐賀県玄海町が文献調査受け入れを表明し、翌6月から調査が開始されました。調査は2年間かかるとのことです。
2.概要調査(ボーリング調査などによる地質の調査)
3.精密調査(地下施設を用いた詳細な調査)
4.最終処分地の決定と建設
というステップで進められということです。これらの長いステップを経て、最終的な処分場が決まる見込みですので、現時点では、処分場の稼働は2050年以降になる可能性が高いと言われています。そうすると、私自身が最終処分地の決定と建設を知ることができたにしても、その稼働までは見届けることはまずできそうにありません。
K. K.