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Nr. 397 März 2014
今回は、ベルリンの賃貸住宅の改修がテーマです。さて、そのベルリンには、戦時中の空爆により生じた空き地が戦後約70年を経た現在、今だに存在している事実に驚かされます。このような空き地は景観を損ねることから、建物の再建のためにベルリンとしても政府と共に財政援助をしてきたものの、現在も存在しています。
また、ベルリンは、空き地への建物の再建のみならず、古い住宅の改修に対しても資金援助をしてきました。そしてそれは、ベルリンの歴史が大きく影響していたとのことです。すなわち、70年代~80年代にかけて当時の西ベルリンを旧東ドイツより立派に見せる必要があったため旧西ドイツから多額の資金を得てこれに充当しましたが、90年の東ドイツ消滅後はこの旧西ベルリンの「ショーウインドー」としての役割の必要性が消え、ベルリンの住宅に対する資金援助も縮小してしまいました。
このような改修事業には、市は資金も出す代わりに、口出しもします。一方で、市からは資金援助を受けず自費で改修し、高級住宅としてより高い賃料で貸す家主や、購入住宅を改修し高く売却しようとする投資家もいます。ただし、借主の同意が必要になるため、このような投資目的の場合、人が住んでいない物件が購入される傾向にあるようです。それは、借主が住んでいる場合、”Kauf bricht Miete nicht.”という法理があるためです。
以前、日本の民法や賃貸借法を少し勉強したことがありました。その際に、「売買は賃貸借を破らない」(売買は賃貸借に優先しない)という、弱い立場の賃借人を保護する基本概念が出てきましたが、まさに今回の”Kauf bricht Miete nicht.”がこれに該当することを確認しました。これは、明治初期の日本が法律を整備するために当時のドイツ帝国の法体系を参考にしたという経緯を考えると当然なのですが、今回の放送の中でこの文言を聞くことになろうとは思いませんでした。同文言を聞いた時は、「あっ、これがあれだ」(このような場面において、ドイツ語では何と表現するのでしょうか。”Ach, das ist es!” とでも表現するのでしょうか)と納得すると同時に、ドイツの法体系がかつて日本の法律 に影響を与えたこともまた、再認識しました。
K. K.