Kommentare zu
Nr. 402 März 2015
今回は、ドイツの里親事情がテーマです。日本でも働く女性との関連で子育てが問題になっていますが、かつてはともかく、現在の日本では里親または里子という言葉を耳にするのは、稀になった印象があります。少なくとも私の身近では事例がありません(一方、養子については、時折聞きますし、身近でも知っています)。里親という言葉は今日、むしろ捨てられた犬や猫などのペットの新しい飼主を里親と称していることが多いように思います。その仲介をする組織は「里親探し」と呼ばれるインターネットのホームページを持っていたりします。ただし、人の里親と大きく異なるのは、人の場合一時的な養育を意味するのに対し、ペットの場合は、基本的に「購入」と同義ですので、一生面倒を見ることを意味します。
ところが、改めて厚生労働省のホームページを閲覧しましたところ、1965年には8,283の里親数がいたのに対し、1985年までには一旦2,627まで減ったのですが、その後徐々に増え最新のデータ(2010年)では3,876人に増えていることが判明しましたので、私の認識を改める必要があるようです。また、日本では、施設での養育が90%と圧倒的多数を占め、残り10%が里親による養育となっているところが、欧米とは異なるそうですが、日本でも毎年保護される子供の数は想像以上に多いと感じます。
ではドイツの状況はどうなのでしょうか。放送では、2009年に33,000人の子供や若者が保護されたとありましたが、Wikipediaによりますと2005年のみの里子のデータがありました。それによりますとドイツでは8,725人の里子が発生したということです。年次は異なりますが、この差(33,000と8,725)は、おそらく保護された総数と施設で引き取られた件数を差し引いた里子数というところから生じているためだろうと思いますが、ドイツでも決して少なくない子供たちが毎年保護され、里子が発生していることがわかります。因みに、連邦統計庁(Statistisches Bundesamt)のデータによりますと、2013年は42,100人もの子供や若者が保護されたということですので、ドイツでも年々増加しているようですので、それにつれて里親/里子の件数も増えているものと想像されます。
さて、今回の放送では、子のいない夫婦が養子を迎える代わりに青少年局(Jugentamt)で里親の申し込むことを決心したり、自分の子供の成人後、まだその子供、つまり孫がいないので、その孫の世話ができるまでの間、里子を迎えて養育したいというケースが多いようです。
自分の子を一人も持てなかったLoreの育ての母親の場合は、12年前初めての里子を迎えましたが、Loreは、まだ幼かったので、全く望まない実の両親との面会を4週間毎に行う時には、哺乳瓶、おしめ、おもちゃなども携行しなければならなかったとのことです。定期的に実の両親に面会することが法律によって定められているため、不承不承行っていました。私の感覚では、いわゆる乳飲み子を養育することはより難しいと思いますので、特に自分の子供を育てた経験のない彼女が他人の子供を養育しようとよく決断できたと思いますし、実際養育は大変だったろうと思います。
また、里親応募者は、まずセミナーに参加することが義務づけられ、どのような法的問題が存在するかが説明され、里子は自分自身の子供ではないので、どのような感情に関する困難があるかについて、参加者に気づいてもらうようにしているとのことですが、いかにもドイツらしいと感じました。
K. K.