Kommentare zu
Nr. 470 Mai 2020
今回は、多くの人が関心を持っていると思われる食と健康をめぐる話題です。バイエルン放送(der Bayerische Rundfunk, 略してBR)においてラジオ媒体だけでなくテレビ媒体においても健康をテーマにした放送を特に多く届ける日を「健康の日」(„Gesundheitstag”)と呼んでいます。2019年では5月14日と10月22日がその日にあたりました。5月14日にはこのような放送の一つが第二放送プログラムにおける午前プログラムの二時限目のルポルタージュとして放送されました。その番組の女性取材記者(Frau Ficociello)は、シュライターさん夫妻(Herr und Frau Schreiter)、ゾンマーコルンさん(Frau Sommerkorn)およびブロムバッハドクター〔博士〕教授(Frau Professor Doktor Brombach)の各氏にインタビューを行いました。
シュライターさん(Herr Schreiter)は62歳になるエンジニアです。太り過ぎていた父親の死亡後健康というテーマに関心を持ち始めました。なぜならば、シュライターさん自身がここ数年の間に太り過ぎていたからです。シュライターさんは栄養・食物に関する本を読みあさるとともに、シュライター夫人がフリーランスのスポーツ教師として忙しいにもかかわらず、家族のために日に2度は料理することにより、その理論を実践するよう努めています。
シュライターさん(Frau Schreiter)にとっては「健康とはどういうことか」という問いに答えることは全く簡単ではありません。誰にとっても健康であることの意味は異なると思っています。個々人の生活を観察しなければならないといいます。というのは、老人ホームでずっとソファに座っている人にとって健康とみなされることは、建設作業員のものとは異なるからだといいます。シュライターさんにとって食事とは、とりわけ変化に富んでい〔多彩で〕なければなりません〔あることが必要です〕。シュライターさんは、自分の体のためになること、ためにならないことに対する感覚・感性を磨いてきましたし、食事で満ち足り、かつ満足するための調理法や食べ方について自分なり方法を見つけました。
ブロムバッハ教授は、チューリッヒ大学の応用科学分野の栄養学の講師を務めています。ブロムバッハ教授は、人は太り過ぎないためには砂糖の摂取を控え、新鮮な野菜を多めにとるべきであるということを理解するでは十分ではないと言います。というのは、人の食行動は、生理的な観点だけでなく、教育や文化的な考えのような多くの他の要因、つまり社会的な観点によって決まるからです。
人間は年を取ると、必要なエネルギー量は減少します。しかしながら栄養素、つまりミネラル、微量元素およびビタミンの必要量は変わりません。また食べる量は減ります、つまり食べる内容については極めて注意深く選び抜く必要があります。微量ではあるものの人間が必要とするすべての栄養素を含む栄養価の高い食物を摂取するよう注意を払う必要があります。
人がいつも繰り返し好んで食べるものは、どこで育ったかに左右されます。ゾンマーコルンさんはフリーランスのペディキュア美容師で、50歳になったばかりです。体重に関しては今まで全く問題はありませんでしたが、今はちょっと減量したいと思っています。女性取材記者がゾンマーコルンさんをある火曜日の晩に尋ねると、夕食の支度をしています。それは、にんじん、にんにくそれにタマネギを入れた自家製のソース付きの麺です。
ゾンマーコルンさんは生まれも、育ちもミュンヒェンです。しかし、ゾンマーコルンさんがまだ幼い頃、両親が離婚して以来、オーバープファルツ(Oberpfalz)の父親のもとで多くの時間を過ごしました。そこでゾンマーコルンさんの大好物となったのが、オーバープファルツの名物料理でした。このスープは常に特に好んで食べます。牛乳を多く使って調理しますので、このスープは白く見え、白いスープと呼ばれています。そこにはパンも加えます。従って、このスープのカロリーは高いです。ゾンマーコルンさんが減量しようと思うのであれば、たぶんできればこのスープはもう食べないでおくべきところでしょうけれども、食べることが人に喜びを与えることも重要です。
ゾンマーコルンさんにはボーイフレンドがいます。しかしながらボーイフレンドと毎日夕食を共にすることは難しいだろうといいます。例えば、ボーイフレンドは生のパセリは全く受け付けませんので、ゾンマーコルンさんが二人用にちょっと料理をする場合には、このことに注意しなければなりません。ゾンマーコルンさんが調理にパセリを使おうものなら、その食事はボーイフレンドには台無しになってしまいます。しかしながら、ゾンマーコルンさんにはパセリは、多くの料理に必要不可欠なものです。従って、ゾンマーコルンさんは一人で自宅で食べることが多くなります。二人が一緒に食べたいと思えば、レストランに行きます。
人の食行動に影響を与える他の社会的要因が常に存在します。例えば、1950年代に米国から最初の調理済み食品がやって来ました。その後台所調理用器具において変化が生じ、食に関わる最大の変革は電子レンジの使用〔投入〕によるものでした・・・。
さて、シュライター夫人が健康のために食品には注意を払い、新鮮な野菜、有機食品を買っているというのは、食品には比較的注意している私にも容易に理解ができますが、更に小麦粉も自ら碾いているというのには驚きます。食品に注意を払っていてもそこまで徹底している人は珍しいと思います。これは日本で言えば、例えば、そば好きでかつそのそば粉にもこだわりのある人が市販の既製品を求めず、蕎麦の実からそば粉を自分で碾いて蕎麦を打つようなものだと思いますので、かなりの少数派に属すると思います。
また、ゾンマーコルンさんとボーイフレンドのパセリに関する話にも興味をそそられましたが、一方ではボーイフレンドの頑なとも思える姿勢には多少疑問を感じました。今回の放送の取材を受けたゾンマーコルンさんは、ボーイフレンドに取材を受けたことも話しているだろうと考えられ、この放送を聴いたのではないでしょうか。食べ物の好みは生まれつきではなく、変えられることも紹介されていましたので、ボーイフレンドも徐々にパセリにトライしてみてはどうでしょうか。その際ゾンマーコルンさんのにんにくを食べるようになった切っ掛けも改めて語り、ボーイフレンドにパセリにトライしてみることを勧めてはどうでしょうか。Beiheftによりますと、ゾンマーコルンさんの母親がにんにくが大嫌いだったため自身も嫌いになっていましたが、20歳頃に女友達と共にしたキャンプファイヤーでのフランスパン、バターそれににんにくとの出会いにより、にんにくが美味しいことを発見し、現在に至っているというエピソードは是非ボーイフレンドに話してみて欲しいと思いました。いや、ひょっとしたら、ボーイフレンドは2019年5月の放送を聴いた後、既に試行錯誤を重ねている最中かもしれませんし、試行錯誤の後現在では既にパセリを食べられるようになっているかもしれません。是非その結果を知りたいものです。
さて、今回の放送および課題において、戦後大きな影響を及ぼした調理家電製品として電子レンジの登場があげられています。電器冷蔵庫、電器炊飯機(特に日本において)、ジューサー、コーヒーメーカーなど、私たちの生活を快適にしてくれる調理家電製品は数多く存在しますが、やはり最も生活を便利にしてくれたのは、電気冷蔵庫と並んで電子レンジだろうと思います。もっとも、「調理」に限定しなければ、戦後の生活を格段に便利にした家電製品としては、テレビ、洗濯機、エアコン、空気清浄器、掃除機(およびロボット掃除機)、テープレコーダー(現在はICレコーダー)、パソコン、ファックス、携帯電話(最近はスマートフォン)など多くのものをあげることもできます。さて、電子レンジに話を戻しますが、電子レンジで調理することを日本語では擬声語を使って「チンする」と表現しますが、先日のあるテレビ番組において、この言葉の由来は1967年に日本の某家電メーカーが料理のできあがりを音で知らせるために採用したということが紹介されていました。これは初めて知りました。また数年前の文化庁の調査によると国民の9割がこの「レンジでチン」という言葉を使うという記事がありましたが、手元の国語辞典にも確かに「ちんする」という語彙が掲載されています。この言葉を日常では使用しない私にとっては辞書に掲載されていることは正直驚きました。ドイツ語では「レンジで温める」は手元の独和辞書やインターネットによると in der Mikrowelle aufwärmen と表現するようですが、日本語の「ちんする」のような擬声語を使った口語表現はドイツ語でもあるのでしょうか。
K. K.