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Nr. 486 Dezember 2021
さて、今回は、ドイツでのJugendweihe(「成人式」)が話題になっています。
„Direkt aus Europa”の486号においては2020年10月6日放送分の2つの録音を聞くことができます。一つは南西ドイツ放送(Südwestrundfunk)からのものですし、もう一つはドイツ放送(Deutschlandfunk)のものです。一つは午後の放送分からですし、もう一つは夜間の放送分からです。火曜日の夜間の放送においてA面の29分47秒には、4万の人口とカトリックの司教所在地を有する、ネッカー川のほとりの街Rottenburgについて言及されています。この都市の名前は二つの„t”で綴られますので、この綴りが短母音の„o”であることがすぐ分ります。しかしながら、詳細に見ない人は、この語について„h”を伴うか、伴わないで書かれる長母音の„o”を有する都市の名前とちょっと混同することがあります。その内の一つはタオバー川(dieTauber)沿いに位置するRothenburgですし、もう一つはフルダ川(dieFulda)沿いに位置するRotenburgです。
午後の収録音声では、「人生」(„Leben”)というシリーズ番組において、Jugendweiheという「成人式」が話題になっています。これは、プロテスタントでもなければ、カトリックでもない若者たちにとっては、KonfirmationまたはFirmungと呼ばれる「堅信(礼)」というイベントに代わるものです。人が18歳になると成人し、投票することができることになっても、ことさらこれを祝うことはありませんが、人は14歳になるともはや子供ではなくなります。そしてこれを祝福したいと願います。KonfirmationおよびFirmungなどの「堅信(礼)」は準備しなければなりませんが、Jugendweiheという「成人式」には準備講習に参加することなくして行くことができます。しかしながら、多くの人にとって準備講習は祝典より重要です。しかしながら重要なのはまた、親戚からの祝典日のためのプレゼントです。ある少女は、兄(弟)と一緒に叔母と両親から外国旅行を、そして他の親戚たちからお金をプレゼントされたことを覚えています。
インゲルハイム・アム・ライン(Ingelheim am Rhein)では、毎週土曜日の午前、簡素なセミナーハウスで講習が開催されます。若者たちは両親によってそこに連れて来られます。その講習会の講師は、エッガートさん(HerrEggert)が務めます。エッガートさんはまず、講習会参加者らに自己紹介し、自分が既婚者であること、二人の子供がいること、そして彼の上の子も3年前にこの種の講習に参加したことなどを話します。エッガートさんは若者らと一緒に礼儀作法を練習・訓練し、彼らに行動規範や礼儀正しさを教えます。これはこのグループの若者たちが1年に亘り成人式のための準備をしている10のイベントのうちの一つです。この講習には6人の少女と6人の少年が参加しています。エッガートさんは、少年少女各々に互いに自己紹介するように、また互いに考え方・立場を述べるあうように求めます。彼らは相手の目を見なければなりません。彼らは自分がどのような人間なのか、そして自分が他の人にどのような印象を与えるのかを意識しなければなりません。
もうひとつの他のテーマは食事中にどう振る舞うか、つまり礼儀作法です。高級レストランで複数の料理を食べる場合、すべての料理のためのカトラリーが初めから皿の横に並べられています。それでどこに着席すべきか分ります。すると、ウエイターがこの皿を取り去り、前菜を盛付けた皿を置きます。これを食べるためには、皿の左右の外側に置いてあるカトラリーから使います。どの料理の後もそれらのカトラリーは皿に載せて置きます。そうするとこれをウエイターが片付けてくれます。
若者たちは、予め準備講習のために自分たちでみずから提案を行います。そして、リストをもらい、自分が特に興味があるものを選び出します。それには、例えばテレビスタジオ、州議会またはクライミングパークを一緒に訪問することなどが含まれます。州議会は州の議事堂ですが、そこで彼らは州議会のひとつの会議において傍聴することができます。その上で、州議会議員とその会議でテーマになったことについて話すことができます。
19世紀半ばまでは、誰でもプロテスタントまたはカトリック式に洗礼を施されることが当然だったように、若者は誰でも堅信式に行くことが当然だったのです。その後これは変わりました。なぜならば、多くの人は、教会が彼らに求めるものについて、もはやすべてに同意できるわけではなくなったからでした。分裂が起き、これらのグループは自由信仰の教区民と合同しました。成人式について話題にするとき、大抵のドイツ人は旧東ドイツを思い出します。というのは、旧東ドイツにおいては1955年からすべての若者は成年式(14歳に達した青少年に社会主義への忠誠を誓わせ大人の社会に組み入れる式典)に行かなければならなかったからでした。そこでは彼ら青少年らは旧東ドイツの良き国民として社会主義のために働き、戦うことを誓いました・・・。
さて、今回話題になっているJugendweiheは、私の手元の5種類の独和辞典によれば、いずれも「成人式」という訳語が掲載されています。しかしながら、日本人にとっては、「成人式」はその言葉が示すとおり、新しく成人になった人、つまり20歳になった人を対象とする儀式となっていますので、今回話題になっているJugendweiheは対象となる年齢が14歳の頃であることを考えますと、「成人式」という日本語を充てるのは大分違和感を覚えます。さて、とはいうものの、より適切な他の日本語が思い浮かびませんので、便宜的にカギ括弧付で「成人式」とせざるを得ないのですが・・・。
今回の放送・課題を聴いてJugendweiheはとても意義のあるものだと感じましたし、重要であるとも思いました。その対象となるのが14歳のころの若者であることに関しては幾分低いような気がしますが、それでも成人する前の一時期に、大人になる前に様々な知識や作法を学ぶ事は必要だと思うからです。この年代の若者は親や兄弟などの家族や親戚からだけでなく、教師、友人、先輩、近隣の人々などとのつきあいを通じて、また書籍、マスメディア、インターネットなどによりいろいろなことを学び、成長するものだと思いますが、それとは別にちょっと改まった形式でこのような機会を与えられることは刺激も受けるでしょうし、有意義だと思います。そのような自治体に生まれ、育った若者たちは、そうでない若者たちに比べ幸運ではないかと思いました。また、Jugendweiheが無宗教の人々のためのものだとすれば、カトリックが他の州に比べ多いバイエルン州においてはJugendweiheがあまり普及していないことにも納得できます。
ところで、今回の放送で特に印象に残ったのは、ヤキーラ(Yakira)さんの母親ヤナ(Jana)さんです。彼女は現在、ラインラント・プファルツのJugendweiheの世話人の1人を務めていますが、何と20年前には彼女自身がコットブス(Cottbus)でJugendweiheを経験していたのです。彼女にはその経験が有意義だったことが窺えます。というのは、今度は世話人を務めると共に2020年には自身の娘をJugendweiheに参加させたからです。ひょっとすると将来、ヤキーラさんが世話人を務めるJugendweiheにその娘または息子が参加するかもしれません。
私は今まで、Jugendweiheについて知りませんでしたので、例えばドイツ出身の人に対してJugendweiheについて尋ねたことはありませんでした。今回初めて知り、興味を持ちましたので、何かの機会にドイツ出身の人に対し「堅信(礼)」またはJugendweiheを経験したことがあるかどうか、あるとすれば具体的にどのようなことを経験したのか、どのような印象を持ったかなど是非尋ねてみたいと思いました。
ところで、日本における成人は20歳である旨上述しましたが、2022年4月1日より、これまでの成人年齢(1896年の民法規定により20歳とされたそうです)が18歳に引き下げられます。この引き下げが施行されるのに伴い、自治体によっては従来からの20歳の青少年だけでなく、18~19歳に達した人も成人式の対象とすることもあるようです。成人式の有無とは別に、これで日本の成人年齢が国際的な標準である18歳と合致するようになります。
K. K.