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Nr. 491 Mai 2022
さて、今回は「高齢者の世話・介護」がテーマとして取り上げられています。
高齢になると人は、しばしば突然助けが必要になります。子供がいる人は、子供の助けを期待しますが、子供に助けてもらうことは多くの高齢者には気が重いですし、多くの子供にとってもまた、かつて両親が自分を世話してくれたように自分の高齢の両親の世話をするのは難しいです。そうするとしばしば衝突が起きます。身体的な世話・ケアには、そのために家に来て世話をしてくれる女性や男性の世話をしてくれる人もいます。しかしながら、多くの高齢者には1人で医者に行ったり、役所からの通知に返答したりすることも難しいです。そのような事のためには高齢者のための支援者(Seniorenassistenten)がいます。介護等級2に認定されているほど介護が必要な人は、それに対して介護保険から年間に上限で1,612ユーロの給付を受けられます。
トゥルーマンさん(Frau Trumann)は、53才です。トゥルーマンさんが高齢者のための支援者になる前は、テニス場施設を経営していました。しかしながら、いつの頃からか夫の高齢の叔母の世話をしたり、ある高齢者施設へのその引越しの準備をしたりしなければならなくなりました。その時高齢者とかかわるそうした仕事に喜びを感じる事に気づいたことから、高齢者のための支援者の専門教育を受けるに至り、8年前に高齢者のための支援者として独立しました。トゥルーマンさんは現在、10人の高齢者の世話をしています。その中には彼女が毎週訪問する高齢者もいれば、また月に一度しか顔を合わせない高齢者もいます。トゥルーマンさんはこれを職業上行っているわけですが、そこからしばしば親密な個人的関係に発展したりしますし、トゥルーマンさんが友人のようなものになったりします。
ここ3年来トゥルーマンさんは毎週木曜日にある高齢女性のところに通っています。この女性は脊椎の手術以来もはやうまく歩けなくなり、それ以来車椅子生活となっています。彼女は72才ですが、5年前からブレーメン市の財団法人が保有する建物内の2部屋から成る住居に住んでいます。当該市財団の建物には高齢者向けに2部屋からなるものと、3部屋からなるものとで合計72個の住居があります。この女性は歩行だけでなく、黄斑変性症により読むことにも困難を伴っています。というのは、目がもはや正常に機能していないからです〔不調だからです〕。そこで手紙についてはトゥルーマンさんが代読したり、部分的にこの高齢女性に読んで聞かせたりしなければなりませんし、この女性の代わりに返事を出す必要があります。
この高齢女性の娘にとっては、トゥルーマンさんがやってくれることが大きな負担軽減となっています。というのは、彼女は働いておりますし、面倒を見なければならない2人の娘がいるからです。娘が週に一度または二度この母親を訪ね、二人の娘(つまりこの高齢女性の孫)も連れて来ると、(トゥルーマンさんのおかげで)改めて処理すべきことが全くなく、お互いのために充分な時間が取れることを喜んでいます。トゥルーマンさんが自分の母親とduで呼び合うことは、娘には都合が良いです。トゥルーマンさんに母親の支援の頼み事に関して相談するのは大抵、娘です。なぜならば、本来は彼女自身でこれらをやりたいところですが、彼女にはそのための時間がないからです。
キュックさん(Frau Kück)は51才です。彼女はトゥルーマンさんが提供している支援をうまく利用できればありがたいと思っています。なぜならば、彼女自身には家庭があり、フルタイムで働いているからです。キュックさんは、母親が自分に対する期待が多過ぎると思っています。キュックさんは母親には日頃よく電話していますが、母親は、娘のキュックさんが滅多に電話をしてこないと思っています。しかも母親はそのことを言うのですが、娘だけがいるときだけでなく、他の人の面前でも言うのです。一方ではキュックさんは罪悪感を覚えますが、他方ではそのことで母親は彼女をイライラさせもします。
キュックさんの母親は82才です。彼女は、エレベーターのない建物に住居を構えています。しかも、一階ではありません。階段を登るのは彼女にはますます難儀になっています。なぜならば、太り過ぎ、高血圧、糖尿病、関節痛など多くの健康上の問題を抱えているからです。一度ちょっと心筋梗塞の経験もあります。そんな事情があるため、娘のキュックさんとしては、母親が高齢者施設に引っ越しをしてくれて、そこで支援を受けたほうがより望ましいと思っています。そうすることは、娘のキュックさんにとってだけでなく、母親本人にとっても大きな負担の軽減になるでしょうから。
キュックさんの母親は、彼女にふさわしいと思われるような住居を既にふたつ見学しました。しかしながら、ふたつのどちらの住居も彼女には気に入りませんでした。高齢者住宅において受けるような、他人の支援を受けることは、彼女には気が重く、つらいのです。キュックさんの母親は介護等級2であり、トゥルーマンさんが提案するような、自己負担ではない在宅の医療と支援を必要としました。しかしながら、キュックさんの母親はそれを望みません。キュックさんは一度ちょっと、母親のために近隣間の相互扶助を準備しようと試みたこともありましたが、誰かが自分のところにやって来たことは、とにかく母親には気に入りませんでした・・・。
さて、今回取り上げられている高齢者の世話・介護については、ドイツでは既に1995年に導入された介護保険制度に基づき実施されていると聞いていますが、日本においてもそのドイツの介護保険制度を参考にして2000年4月から施行されました(ただし、私の調べたところではドイツでは介護保険が適用されるのは高齢者に限定していないようです)。私も在職中は毎月の給与から介護保険料を控除されておりましたが、年金生活者である現在、保険料は年金から控除されています。いずれ将来は自分も利用する当事者になると思いますが、現在はまだ保険料の支払のみで関与しているに留まっており、具体的な介護保険制度のサービス内容に関しては殆ど知りません。従いまして、今回課題に登場する高齢者のカイさん(Frau Kai)及びキュックさん(Frau Kück)の母親共、介護等級2と認定されていますが、おぼろげながらの状態はBeiheftなどにより理解できますが、介護等級2が意味することを私は正確には理解できでいません。
また、今回の放送・課題に取り組んだことを切っ掛けに高齢者の介護に従事する職業について調べたところ、日本では介護支援専門員(いわゆる「ケアマネージャー」)、社会福祉士、介護福祉士の3つの有資格者が該当するようです。その中で現場において医師の指導の下に医行為(例えば、喀痰吸引)を行う介護福祉士の役割はトゥルーマンさんにはないとのことですので、彼女がカバーしている業務領域は、日本の介護支援専門員および社会福祉士のそれぞれの業務の一部のようです。
ところで、今回の課題・放送において電話の頻度に対する娘のキュックさんと母親の感じ方の相違が印象に残りました。娘であるキュックさんは定期的に電話しているのですが、母親は滅多に電話をしてこないと感じています。Beiheftによれば、娘のキュックさんは実際には週に1回または複数回の頻度で電話をしていますが、電話を受ける側である母親のほうはそれでは少ないと感じています。電話の回数に対して娘と母親との間に考え方の差が大分ありそうです(その認識の違いだけでなく、母親がその不満を他の人の前でもこぼすことが問題を余計に大きくしているような気がしますが・・・)。娘のほうは1週間に一度または複数回電話しているとのことですので、母親としてはそれでは少ないとすれば、少なくとも1日置きまたはひょっとすると毎日でも電話が欲しいと思っていると思われます。しかしながら、そこまでの頻度を求めるのは、家庭を持ち、フルタイムで働いている娘からすれば、過剰な期待ではないかと思いますし、客観的に見ても娘の主張のほうがより妥当性があるように感じます。ただ母親の気持ちも理解する必要があると思いますので、この問題の解決方法としては、一度キュックさんと母親で、場合によっては、トゥルーマンさんを交えて率直に話し合いをすることがよいのではないかと思います。何かを行う側とこれを受ける側の認識の差の問題は日常生活でよく見られることだと思います。放送からほぼ1年経過している現在、その後電話の頻度に関して両者間で問題は解決していることを期待したいものです。
今回の課題・放送でもうひとつ印象に残っているのは、トゥルーマンさんが、知人から自分の職業・役割についてどう表現するかと尋ねられると、いつも„bezahlte Tochter mit Fachwissen”(直訳しますと、「専門知識を有する有給の娘」でしょうか)と回答するとBeiheftに記載されていたことです。私はこの表現はうまい表現だと思いますし、なるほどと思いました。確かに支援を受ける高齢者にとっては、専門知識を備えているトゥルーマンさんは、親身になって接してくれる、非常に頼りになる「娘」のような存在だろうと想像しますので、トゥルーマンさんがそう思っているだけでなく、支援を受けている高齢者の皆さんの印象も代弁しているような気がします。
さて、超高齢化社会になっている日本においては、離れて生活する高齢の両親や独り暮らしの高齢者の安心・安全を守る様々なサービスについては、複数の警備サービス会社、郵便局が提供しています。警備サービス会社は導線センサーや救急通報ボタンなどの機器を活用したり、郵便局は人的ネットワークを駆使したりしながらそれぞれが特長を生かしているようです(このようなサービスについての広告は新聞や雑誌でも最近よくみかけます)。また、また独自に安否確認サービスを提供している自治体も多いと聞きます。例えば、自治体と民間業者やボランティアと連携し、「配食サービス」は弁当などを宅配、「乳酸菌飲料配達サービス」は乳酸菌飲料を宅配する際に、受け取る高齢者の安否確認も行っているそうです。ドイツにも警備サービス会社は存在すると思いますが、日本と類似の上記サービスを提供しているのでしょうか。また、自治体での取り組みはどのようになっているのでしょうか。
K. K.