Kommentare zu
Nr. 496 Oktober 2022
今回は、ヘルミッツハイム(Hellmitzheim)というバイエルン州の村が話題になっています。
バイエルン王国は、1918年に共和国に、1949年に連邦を構成する州にそれぞれなりました。ドイツ全土において、ますます多くの若者たちが村から都市へと移動しています。その結果、まるで多くの村々が徐々に死に絶えつつあるかのようです。開業医の診療所が閉鎖され、店が廃業し、中央広場では見かける人々がますます少なくなっています。これはバイエルン州においては、北東部の次の3つの行政区において顕著に表れています。すなわち、それらはオーバーフランケン(Oberfranken)、オーバープファルツ(die Oberpfalz)、それにニーダーバイエルン(Niederbayern)です。
しかしながら、北東部ではないウンターフランケン(Unterfranken)においても田舎の生活の質のためにはもっと多くの事をする必要があります。その際とりわけ重要なのは住民が自発的に積極的になることです。彼らが刺激されるのは競争を通じてです。旅行者にとって大抵の村は魅力に乏しいですが、そこに生活をしている多くの人たちにとっては、彼らの村が美しくなれば、すばらしいです。このためにヘルミッツハイムという村では1988年に一つの協会・団体も設立されました。というのは、そこには、誰もがもはや住みたいと思わないため、取り壊されるはずだった古い農家の家屋が1軒あったからでした。その協会・団体は歴史上重要な一軒の農家の家屋を保存するために尽力しました。
1990年、その村が1972年以来属している都市は、その家屋の所有者から木骨家屋を購入し、1991年からその協会・団体のメンバーらが家屋の改修のために多くのことを行いました。住居用建物に繋がっている畜舎は、他の教会・団体のためのイベント用の部屋になりました。1階部分全体とかつての牛舎はグループにより確保されます。そこではボランティアの消防隊が火事について知らなければならないことを学びます。そこではトロンボーンの楽隊が練習をしたり、新しい農機具を協同で購入した農民たちが集まり、誰がいつ、順番でその高価な複数の農機具を使うかについて決めたりしなければなりません。
1988年5月のオープン以来、16世紀からのものだった、改修された黄色い木骨家屋は今や、その村の市民の家となっています。しかしながら、2,3年来、多くの人はFlatterhaus(「ぱたぱた屋敷」)のことについても話題にします。なぜならば2階部分が2016年以来コウモリ博物館となっているからです。コウモリは鳥のように飛ぶのではなく、ぱたぱたさせながら飛んでいくので、それらはFlattermännerとも呼ばれています。しかしながら、インターネットでFlatterhausについて調べる人は、この市民の家を見つけるだけです。その運営はボランティアの40名ほどの協会・団体のメンバーらによって行われています。その内の7人が役員会を構成し、1名がトップを務めています。
90年代初めに、村全体を再開発することをスタートしました。給水や下水用設備が新しいものに取り替えられ、インターネット接続が改善されました。このことは多くの人にとって、村全体が調和の取れた外観を呈するようにするために自分自身の家をしつらえる良い機会でした。しかしながら、2019年になっても依然として改修しえなかった複数の家屋がありました。しかしながら、所有者たちにそうするようせき立てることは望みませんでした。そこには全く美しくは見えない一軒の家があります。その家の所有者は本来やらなければならないような家の面倒を見ることが健康上の理由でできない状態にあります。かといってその所有者は家を売却しようと考えていいません。しかしながら、その村を担当している市区係官は、そのような市民に対しても理解を示さなければならないという意見です。
この村においては11軒の農家の家屋敷があります。それらは家族経営で、その所有者は農業経営で生計を立てていますが、副業は持っていません。多くの建物は現在、以前とは異なる使われ方をしています。昔村の協同冷凍装置があった場所に、現在消防署があります。そして以前の狩猟小屋にはアフガニスタンからの6人家族の難民が住んでいます。羊用のある納屋からはスポーツ施設が生まれました。また倉庫には今やギャラリーがあります。
子供達のためにも多くのことが成されました。教会のすぐ横には幼稚園があります。市民の家には少年少女合唱団や青少年団も集まります。また、夏には屋外プール施設もあります。もっともそこでは広く泳ぎ回る事はできません。このプールは子供向け専用です。これは若者たちが毎夏、草地に設営します。周囲は角形のわらの梱でできています。プールはプラスチックフィルムで内張りがなされ、消防隊により水で満たされます・・・。
さて、今回話題になっている「村の消滅」ですが、これに関連し日本においても「限界自治体」「限界集落」とう言葉があることを思い出しました。この言葉は日本では比較的新しく、の)が社会学者大野教授(高知大学人文学部1991年に最初に提唱した概念です。Wikipediaによれば「、限界自治体とは人口の50%以上が65歳以上で、農業用水や森林、道路の維持管理、冠婚葬祭などの共同生活を維持することが限界に近づきつつある自治体のことであり、この定義を集落単位に細分化したものが限界集落」とされています。この言葉は少子高齢化や過疎化に伴い日本の各地において自治体の運営が困難になっていくことを説明する際にしばしば使われています。ドイツにおいて限界自治体や限界集落という言葉が存在するかどうか分りませんが、現象としては「消滅しつ
つある自治体」と共通しているように感じます。
今回の課題および放送に登場するヘルミッツハイム(Hellmitzheim)は、Beiheftによれば、人口は、わずか378人(2019年7月放送時点)です。人口における年齢構成や1世帯あたりの家族構成員数については言及されていませんが、そもそもこれくらい小さな村が今後も持続可能なのかどうか気になります。しかしながら、この村は前回(2019年)の第26回連邦食糧・経済省主催の„Unser Dorf hat Zukunft”というコンテストにおいて州レベルでは金賞を、連邦レベルでは銀賞をそれぞれ受賞しました。連邦レベルにおいては金賞から銅賞まで合計で30の村しか受賞していないとのことですから、ヘルミッツハイムがその中の銀賞を受賞したことは大変名誉なことだと思います。また2020年5月の授賞式は、ベルリンの大統領府で開催され、当時の担当大臣であるクレックナー氏(Frau Klöckner)だけでなく、シュタインマイヤー大統領が出席し祝辞を述べたようです。尚、3年に一度開催されるこのコンテストは、コロナの影響で2022年に開催が予定されていたものが2023年に延期されたようです。このようなコンテストを定期的に開催することが村の活性化のためのモチベーションとなっているとすれば、とてもいいことだと思います。気に掛かることと言えば、受賞後はコンテストへの参加という目標が無くなりますので、果たして従来と同様の熱心さをもって村民の皆さんが活動に参加するのかどうかとか、村民の皆さんの活動自体がマンネリに陥ったりしないかということがあるのではないかと思います。
ところで、以前ゲーテの講座で遠隔暖房(Fernwärme)が話題になったとき、ドイツ全土では約12,000の自治体が存在し、そのうち3,000が遠隔暖房を利用しているということを知りました。その利用自治体の多さに驚きましたが、私は同時にドイツ全体の自治体の数の多さにも大変驚いたことを思い出しました(なぜならば、国土面積ではほぼ同じ位ですが人口ではドイツを上廻る日本ではそれほど多くの自治体はないとおぼろげながら記憶していたからです)。改めて調べてみたところ、日本でもかつては、例えば、戦後間もない頃は1万以上あった自治体の数も1991年には既に3,000位に減っていましたが、更に平成の大合併により減り、2022年4月末時点では1,724になったということが判明しました。ドイツの自治体の数がそれほど多いということは、日本と比べるとより小規模の自治体が多いということでしょうか。今回登場するヘルミッツハイムも約12,000の自治体の内の一つであることを考えれば、多少極端な事例だとしてもこれに納得がいきます。
K. K.