Kommentare zu
Nr. 501 August 2023
今回は、孤独死や孤独死をした人たちのための葬式が取り上げられています。
クリスマス前の4~5週間前が最初のアドヴェント(待降節)です。それは日曜日です。この日曜日の1週間前は死者慰霊日(Totensonntag)です。その前の水曜日は懺悔と祈りの日(Buß- und Bettag)です。しかしながら死者を偲ぶのは死者慰霊日においてだけではなく、既に1週間前の日曜日、すなわち国民哀悼の日(Volkstrauertag)においてでもそうです。そして、カトリック教徒には更に11月1日の万聖節(Allerheiligen)と11月2日の万霊節(Allerseelen)が加わります。このようにドイツでは11月は悼む機会が多い季節です。その分最初のアドヴェントによりクリスマスの時期がスタートすると、その分人々の喜びも格別です。
しかしながら、誰かが亡くなった場合には、個々の死者を常に悼みます。亡くなった人は、埋葬されます。そして、彼らが墓地に埋葬される場合、beisetzenという言い方もします。というのは、そこには既に他の死者が眠っているからです。亡くなった人は大抵、今の時代には、火葬され、その後でその遺灰は骨壺に納められます。誰かが遺体として埋葬されることになった場合、ドイツではその遺体を棺に納めなければなりません。埋葬費用は死者の近親者が支払わなければなりません。彼らには埋葬義務が課せられています。
しかしながら、人によっては孤独の中で誰にも看取られずに亡くなります。埋葬の費用を支払うことができる近親者がいない場合、死亡者が最後に生活していた自治体(都市)が埋葬の費用を支払わなければなりません。これを担当するのは市公安局です。それでこれは市公安局による葬儀であると呼ばれます。その葬儀はできるだけ安価であるほうがよいです。
臨死介助・看取りも担当している、プロテスタントの社会福祉団体のある女性担当官は、最も安価な埋葬は、遺体が収集され、一括輸送により火葬場に運ばれる場合、東ドイツの5州または東ヨーロッパの国において荼毘に付すこと、つまり遺体の火葬と骨壺での埋葬を行うことであることを確認しました。こうしたやり方により一遺体の葬儀を80ユーロで行うことができます。
しかしながら、大抵の都市は、自らの市民・住民の一人がその都市の費用で埋葬されなければならない場合、そこまで節約しようとは考えていません。ケルン、ゲルゼンキルヒェンそれにマインツではここ2,3年来、孤独死した人の内のキリスト教信者のために葬儀が行われています。なぜならば、亡くなる人の50%は常にキリスト教信者だからです。
ドイツではすべての死亡者の内、23%が自宅で亡くなっています。ボーフーム大学の女性社会学者は、自宅で亡くなったとき、誰からも気づかれなかった人たちについて博士論文を書きましたが、彼女は彼らのほぼ25%が該当することを調査により確認しました。当初発見されないで亡くなった人の内、80%がその後1週間以内に発見されています。残りの内15%は死亡から1ヶ月以内に発見されますが、残りの5%の人においては遺体が誰かに発見されるまでに1ヶ月以上が経過しています。彼女がアーヘンにおいて自ら調査したところによりますと、そのような遺体が発見されるまでに1年が経過するというような事さえも起きていることを確認しました。
ゲルゼンキルヒェンにおいては、彼女はある女性死亡者の隣人たちと話しました。その死亡者の遺体は6階の賃貸住宅の住居に130日間置かれたままになった後ようやく、発見されたものでした。2,3人の賃借人はその死亡者の郵便受けが溢れているのを訝しく思いながらも、管理人には問い合わせをしていませんでした。その死亡者は、27年間その住まいに住む中年女性でしたが、誰1人彼女がいないことに気づきせんでした。彼女の住宅から来る死体の臭いにも誰も気づきませんでした。
プロテスタント系の女性牧師は、孤独死したキリスト教信者のためにゲルゼンキルヒェンにおいて教会の葬儀を行うだけではなく、人が彼らが運ばれる墓への最後の道において同行するのも取り計らいましたが、そのようなことは実にひどいことであると思っています。
彼女は、何ヶ月もいないことを誰にも気づかれない人々がいるという事態になぜ至り得るのか理解できません。しかしながら、もっとひどいのは恐らく、生後数時間、数日または数ヶ月しかたっていない子供たちが埋葬されること、そして親族のだれもが、そして両親さえもが彼らの埋葬に関心がないように見えることでしょう。ゲルゼンキルヒェンにおいてはそのような事例が1年の間に一度ならず起きているのです。そのような棺の後を(墓地に向かって)歩くのはつらいものです・・・。
さて、今回、孤独死したキリスト教信者のための葬儀を教会が行っていることが紹介されましたが、改めてドイツではキリスト教信者がどれ位いるのか調べてみました。Wikipediaによれば、ドイツでは2021年現在、キリスト教信者が全人口の約53%です。また、ドイツの宗教人口の推移を調べてみましたところ、1980年代初めにはカトリック及びプロテスタントを合計しますと80%(旧西ドイツのみ)を超えていました。ところが、2000年頃には60%(旧東西ドイツ合計)となり、現在では上記以外のキリスト教信者も合算しても、約53%(同)まで減っています。教会税の支払いもその一因となっているようです。そしてkonfessionslos(無宗派)の人々が42%にまで増えています。この傾向はこれからも続くのでしょうか。気になるところです。
ところで、日本における孤独死に関する資料について調べてみましたが、全国レベルのものは存在しないようです。いくつかの都道府県単位ではあるようですが、東京都に関しては23区において発生し、東京都監察医務院で取り扱いのあったデータがありました。それによりますと、2003年には孤独死をした人の数が1,441人でしたが、2020年には4,207人と3倍近くまで増えています。この数字を多いとみるべきなのか、それほどでもないとみるべきなのかは意見の分かれるところかもしれませんが、私には2003年から2020年と年を経るにつれて急増しているのが問題ではないかと思います。
孤独死は高齢者だけの問題ではありませんが、高齢者の占める割合が圧倒的に多いようです。日本でも高齢化が進んだことで、高齢者の一人暮らしが増えています。そして、今後もさらにこの傾向は強まるものと懸念されます。他人や地域とのつながりが薄くなった結果、起こりやすくなっていますが、孤立を避けるために、例えば、高齢者施設への入居を推進したり、社会と積極的に関わりを持つように促したり、自治体や民間企業などによる見守りサービスを活用したりするなど様々な対策が行われています。今回の放送では孤独死を回避したり、孤独死の発見を早めたりする方策については触れていなかったようですので、ドイツでの具体的な取り組みはどうなっているのか知りたいところです。
また、今回話題になっている孤独死から発見までの日数ですが、別の機関が2020年11月に発表している東京都23区における2019年(合計4,011人)の資料によりますと、以下の通りとなっています。
3日以内約5 0%
4~14日約 28%
15~29日約 12% (29日以内は約90%)
30日以上約 10% (平均は17日)
ボーフーム大学の女性社会学者が紹介している資料では「80%がその後1週間以内に発見され、残りの内15%は死亡から1ヶ月以内に発見されます」ので、95%が1ヶ月以内に発見されている計算です。母数がどれくらいか不明ですので、上記の東京都23区との単純比較はできませんが、1ヶ月以内に発見された比率だけみると、かなり近いのではないかと思います。もっとも死後1ヶ月というのは遺体の腐敗も相当進んでいると思われますので、やはりできるだけ早い時期での発見が強く望まれるところです。本来であれば、孤独死は根絶されるべきだと思いますが、独居高齢者が増える状況では難しいと思われます。それでも極小化のための取り組みは少なくとも最大限行われるべきだろうと思います。
K. K.