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Nr. 506 – 513 Februar 2023
さて、今回は「スイスを美しく保つために働いている外国人労働者」が話題になっています。そして、放送番組の記者であるグリューターさん(Frau Grüter)が各方面で活動している彼らの業務に同行取材し、それをレポートしています。
スイスは世界で最も清潔な国々の一つとして見なされているだけではなく、グリューターさんは、スイスが実際にそういう国だと思っています。スイスは、しかしながら、最大のゴミ排出国の一つでもあります。多くのゴミは、市の清掃員がやって来て、これを収集するまでは家の外に放置されたままになっています。バーゼル市の清掃員では、男性の方が女性よりずっと多く働いています。これらの女性職員の内の一人は、彼女の当時の夫が市の清掃員であったため、自らもキューバからスイスにやって来ました。当時の夫はバーゼル市清掃局で働いていたのですが、彼女も当時、そこですぐ職を得ました。キューバからやって来たその女性は、スイスでは最早いらなくなったものは、すべて路上に捨てたり、路上に置いたりすることに驚きました。
キューバでは買いものができるものがあまり多くないので、その分ゴミも少ないです。それは一方ではよいことだと彼女は思いますが、しかしながら他方ではキューバにおいては多くのものを買えないことに当然ながら腹を立ててもいました。
ある土曜日の午前中、彼女は仕事に際しグリューターさんに同行してもらいます。市清掃局の仕事は土曜日も6時45分に始まります。この土曜日には太陽がまだ昇っていません。彼らは細長いごみ収集車で狭い通りを走り、満杯になったごみ袋をごみ箱から取り出し、新しいごみ袋を備えつけます。その作業のために数メートル毎にごみ収集車から降り、またごみ収集車へ乗ることを繰り返します。
そのキューバ出身の女性は、この仕事を11年来行っており、降車と乗車を繰り返すことには慣れていますが、グリューターさんはこの降車と乗車をずっと繰り返すことだけで2時間後には疲れてしまいます。土曜日のシフトは5時間足らずですが、そのときは休憩なくぶっ通しで働きます。キューバ人の女性と彼女の男性同僚はその間、時々ちょっと水を飲むだけです。そのような男性と一緒に働くことは、彼女は気に入っています。彼女は一般に男性は複雑だと思います。しかしながら、それには慣れました。彼女は自分自身も複雑だとときどき思うことがあります。
時々ちょっと問題が起きますが、どうにか常に乗り越えられていますし、このことはすばらしいと思います。しかしながら、女性として彼女にはこれは簡単なことではありません。バーゼル市清掃局には、男性が言うことを女性が行わなければならないというお国柄の国から来ている男性が多く働いているからです。そのため、ここでは彼女に対し何も言う権利の無い人々が、彼女が何をすべきか指示しようとすることがあります。もっとも、これは職員が市から賃金が支払われる業務です・・・。
アリ(Ali)さんというのは、廃棄物検査官のファーストネームです。その仕事をここ半年来彼は行っています。ドイツ語がまだ十分には身についていませんので、正規雇用されていません。バーゼルでは外国人が廃棄物検査業務において正規雇用されることを希望する場合、ドイツ語の試験に合格しなければなりません。従って、アリさんは業務の後ドイツ語を学んでいます。
グリューターさんはアリさんの業務に同行します。古くなったフィットネス器具とか、壊れた電子レンジを廃棄しようとする人は、その廃棄費用を払わなければなりません。しかしながら、そのようなものをただ歩道に放置する人がいます。それにもかかわらず廃棄物検査官はそれを気にかけることはありません。そのようなものが誰のものだったかを突き止めることはほとんど不可能だからです。検査官がより興味を持つのは、費用が支払われていなかったごみ袋です。これらをアリさんはごみ収集車の荷台に投げ入れます。後でゴミ袋の中身をよくチェックするためです。時折、例えば、受取人の住所が記載された封筒を見つけることがあります。その人がそこの近くに住んでいる場合、そこでゴミを不法投棄したのはその人であることがかなり確実になります。そうした後で彼が罰金として支払わなければならないこの200フランは、罰として見なされていず、彼が行ってしまった行為に対する後悔の印にすぎません。
グリューターさんがアリさんの業務に同行している間、多くのことは起きませんが、彼らは一人の男性が目にとまります。彼はパン屋に入る前に、今しがた歩きタバコをしていたタバコの切れ端を路上に投げ捨てたのです。アリさんが直後に彼に話しかけると、彼はバツが悪そうな表情をします。最初は、彼は、それは自分の吸い殻ではないと言い張ります。しかしながら、その後で謝ります。そして、彼は、そんなことを二度としないように、携帯用の灰皿をもらいます・・・。
さて、課題ではスイス・バーゼル市において清掃局職員や廃棄物検査官として働く外国人労働者が取り上げられていますが、テキストではこの他に掃除婦として働く外国人も登場します。ここで驚くのは、2人の子供を持つ共働きの夫妻であるスイス人らしき依頼人が、留守中に家の掃除をしてもらうのですが、外国人であるその掃除婦さんに鍵を預けていることです。それほど掃除婦さんを信頼していることに驚きました。ではこれが例外なのかと言えば、どうもそうではないようです。というのは61歳の男性の掃除人に掃除を依頼している女性も同様に鍵を預けている事例が紹介されているからです。この女性の場合、セルビア生まれの61歳のセルジム(Seljim)さんに5年前から家の掃除を依頼し、月に一度、第2火曜日に来てもらっているといいます。彼は驚いたことに14軒もの家庭の清掃を担当しています。彼は契約・担当しているすべての家庭の鍵を預かっているのでしょうか。このように家事代行を依頼する場合において、業者に鍵を預けることはバーゼル市では一般的なのでしょうか。セキュリティ上問題はないのだろうかと思ってしまいます。もっとも、留守中に清掃などの家事を代行してもらうためにはドアを開けるための鍵が必要ですので、預けざるをえないと思いますが、当然何らかの対策が講じられているものと想像します。私にはちょっと考えられませんが・・・。
不法滞在の発覚に不安を感じながらも清掃業務に従事するスベトラーナさん(仮名)という女性。彼女は10年来掃除婦として働いていますが、取材したグリューターさんは彼女の出身地も明かせないそうです。
今回の放送・課題を通じて、バーゼル市およびスイスが清潔に保たれているのは外国人労働者のおかげかもしれないと改めて思いました。また、以前ゲーテでドイツの外国人労働者の問題を扱った授業の際にも同じようなことを痛感したことがあることを思い出しました。また、2022年8月に放送された時点ではアリさんのドイツ語の能力がまだ十分でないため正規雇用されていないということでしたが、仕事の後でドイツ語の勉強をしていたようですので、現在は晴れて正規雇用されているだろうと思います。
K. K.