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Nr. 536 April 2026
さて、今回は、ドイツにおける不登校・登校拒否が話題になっています。
ドイツでは6歳から18歳までのすべての子供には就学義務があります。しかしながら、15歳で職業訓練を始めた人は、職業訓練に加えて、週に1日か2日だけ職業学校に通えばよいことになっています。しかしながら、9月30日の番組で扱われていたのは職業学校ではなく、6歳から15歳までの子供についてでした。問題が難しくなるのは、しばしば、子供の父親と別れて暮すシングルマザーの場合です。シングルマザーの自分が親権を持つ子供については、その子供が学校に通うようにさせなければなりません。そうしないと、親権を失う可能性があります。親権を持つ者には、つまり子供の世話をする義務があります。権利には義務が伴います。
母親がとりわけ苦労するのは、子供が学校へ行きたがらず、いわゆる不登校者・登校拒否者である場合です。その場合、母親は必要であれば力ずくでも子供を、国が認めた学校へ定期的に連れて行かなければなりません。そして、母親がそれをしない場合、児童福祉局が警官を派遣し、子供を自宅から連れ出すこともあります。母親が子供を引き渡すことを拒否すれば、所轄の裁判所が、次にどうすべきかを判断しなければなりません。当然のことながら、親権者が、公立学校で他の子供たちと同じように教育されることを望まないということも起きています。
子供が何を学ぶべきかは、国家が決めます。そして中にはそのことを全くよく思わない親たちもいます。同じ考えを持つ他の家庭と一緒になって、彼らはしばしば自分たちで学習教材を探し出し、それを使って子供たちに自宅で教えようとします。就学義務に対しては親たちの中には抵抗感が生まれます。彼らは、イタリアやデンマークのように、子供たちを学校に通わせるかどうかを親が決められる国々を引き合いに出します。親たちは、子供が将来必要となることをすべて学べるようにする責任を負うだけです。学んだ内容を確認するために、半年ごと、または年に一度テストが行われます。
イタリアには一般的な「就学義務」はなく、18歳までの「教育を受けさせる義務」だけがあります。デンマークにも、「就学義務」はなく、10年間にわたる「授業を受けさせる義務」があるだけです。公立学校の評判がよかったり、良い私立学校も多かったりするため、家庭での学習はかなり希です。しかしながら、子供が学校に行きたがらないことや、親が学校に行かせたくないと思うことは、どこでも起こります。
ドイツでは、国が認めた学校には多くの私立学校も含まれます。そこでも就学義務は果たされることになります。問題なのは、学校に行きたがらない子供たちです。その場合、親たちは子供たちにプレッシャーをかけ、子供たちがきちんと宿題をやることにも気を配らなければなりません。
そうすると家庭ではしばしば、大きな争いが起き、さらに親たちは教師たちからもプレッシャーを受け、それをまた子供たちに向けてしまうことになります。授業に全く出席しない、または部分的にしか出席しない学齢児童がどれくらいいるのかは、把握されていません。専門家たちはその割合を4~5パーセントと推定しています。
子供が学校へ行かず、そのことを学校が教育当局に報告すると、しばしば家庭裁判所で親権に関する手続きが始まります。2023年8月25日、所轄の裁判所の審判部は、母親に対し、子供の就学義務を確実に履行させるために、息子を定期的に学校に通わせること、そして学校が発行する証明によって登校状況を裁判所に報告することを義務づけました。
その3ヶ月後、息子が3年以上ほとんど学校に通っていなかったことから、裁判所は補助後見人を選任し、母親に対し、息子を、彼個人の使用のために用意されている一切の持ち物とともに補助後見人に引き渡すことを命じました。しかしながら、母親はそれを実行しませんでした。それでも彼女は処罰されることはなく、一度だけ、教育当局から警告を受けました・・・。
ところで、放送および課題においてドイツにおける就学義務のある年齢層の不登校・登校拒否率が4~5%と推定されるとのことですが、私の第一印象はそれほど高いのかという驚きでした。日本ではそれほど高くないだろうと漠然と想像しながらも、調べてみたところ、意外にもドイツと同じレベルであることが分かりました。かつてはともかく現在の日本でも、義務教育が課せられている小中学生において、文部科学省のデータによりますと2023年において3.7%(ただし、2010年には1.13%)でした。また高校は義務教育ではないものの、現在では高校進学率が98%になっていますので、これも含めますと、3~4%ですので、ドイツとの差は余りないと言えそうです。また、日本では小中学校の1クラスは35人~40人とのことですから、大雑把に言うと、1クラスで1人~1.5人が不登校で欠席しているという計算になります。文部科学省の不登校調査は小中学校について1991年度から開始され、2000年代前半までは不登校率は1%前後だったようです。その後2010年代後半から急増しているとのことです。確かに私自身の小中学校時代には不登校という言葉はまだなかったように思いますし、自分たちの子供の小中学校時代である1990年代初頭にマスメディアに取り上げられ始めたものの、まだそれほど身近なテーマではなかったように思います。
さて、ドイツに話を戻しますと、ドイツの就学義務について気になりました。「ドイツでは6歳の子供が就学義務を負う」ということについては、6歳で基礎学校(Grundschule)に通い始めるということは私も知っていましたので、何となく理解していました。しかしながら今回改めて、どのような法律に基づいているのか、またその条文はどのような記載になっているのか興味がわきました。インターネットで検索したところ、6歳児が就学義務を負うのは各州の学校法(Schulgesetz)に基づいていることが分かりました。その一例としてヘッセン州の学校法を以下に紹介したいと思います。
§58 HSchG-Beginn der Vollzeitschulpflicht
Für alle Kinder, die bis zum 30. Juni das sechste Lebensjahr vollenden, beginnt die Schulpflicht am 1. August.
ヘッセン州学校法第58条 全日制就学義務の開始
6月30日までに6歳に達するすべての子供については、8月1日に就学義務が始まる。
確かにこの条文には「6歳児が就学義務を負う」と記載されていますが、まだよく事情がわからない(と思われる)6歳児が自ら義務を果たそうという意思を持つとは思えず、実質的には両親にその義務を負わせているのだと思います。ただ、法律の条文に6歳児が果たすべき義務として記載するところには大いに驚きますし、日本では考えられないと思いました。日本では、保護者である両親に対し、子供に教育を受けさせる義務(教育義務)が課せられますので、子供が教育を受けるという実態では似ていますが、法律上は大きな差があると感じます。
またドイツでは不登校・登校拒否に対応するために警察が登場するのにはとても驚きました。ドイツでは、長期欠席が続くと、学校からの指導、Jugendamt(児童福祉局)の介入、保護者への罰金、最終手段として児童本人への強制措置が想定されます。就学義務が法的義務であることに起因しているのでしょうか。これに対し、日本では学校による面談・支援、教育委員会の適応指導教室、スクールカウンセラー、フリースクール、オンライン学習の出席扱い(近年拡大)など、支援型のアプローが中心になっているとのことです。ドイツと日本における不登校・登校拒否への対応が大きく異なることを認識した次第です。
K. K.