Kommentare zu
Nr. 417 September 2016
さて、今回は、Deutschland-Rundfahrt(「ドイツ周遊」と訳しておきます)というラジオ番組の1,000回目の放送(第1回目は、Lübeckから1995年1月14日に放送)が話題になっています。同番組は、これを記念し、DresdenのComödie(643席を有するザクセン州最大の私立劇場で主に喜劇が上演されています)という劇場において、過去出演したゲストをその劇場に招きその当時を振り返るという特別企画のようです。この特別企画番組は2014年10月18日に収録され、翌19日に放送されたということです。尚、この番組は、以前は主としてライブ中継を行う番組でしたが、現在では通常、録音収録したものを翌日放送するように変更になっているようです。
招かれた何人かのゲスト中、今回の課題では、二人が紹介されています。
まず一人目は、2007年3月24日の放送で登場したFreibergのある教授(Prof. Timo Leukefeld)です。彼は石油消費やガス消費を低減させるために、太陽光暖房装置を計画し、設置する会社を設立したことを当時の番組で語っていました。彼の会社は、100%太陽エネルギーにより暖房可能な家屋の開発もしていました。しかしながら、その放送の3年後、彼の会社は倒産してしまいました。それは、太陽エネルギー利用促進の国の補助金と関係していました。突然、補助金プログラムに終止符が打たれ、まもなく新たな補助金が導入されることが宣言されたからでした。新たな補助金を顧客たちは期待しましたが、彼の会社はもはや新たな契約を勝ち取ることができませんでした。
しかしながら、倒産後も彼はまだ、もう一度全く新たにスタートすることができました。彼の新会社は、自社ではもう暖房装置を設置するのではなく、エネルギー消費を少なくするための計画やアイデアを売り込む方式に変えました。彼は、太陽光で暖房消費と電力消費をまかなえるように家を建てるべきであると言います。彼は、電気自動車用の電力も自分自身で十分賄え、かつ家の負債も返済可能な自給自足の家について語ります。これこそ理想的なAltersvorsorge(「老後の備え」)になるかもしれないということです。彼によればこれは一つのビジネスモデルだとしています。
二人目は、2007年1月27日にChemnitzから放送された番組に登場した、Torgauにある1685年(2015年には設立330周年を祝うとのことです)から続くドイツで最も古い玩具店オーナー(Herr Carl Loebner)でした。この玩具店は、開店以来ずっとファミリー経営であり、現在すでに11代目となっています。現在のオーナーは、子供の時自分自身の玩具はほとんど持っていませんでしたが、店の閉店後はすべての玩具を使って遊ぶことができました。ただし、壊してダメにすることだけは厳に禁止されていました。
彼の学校の友達たちは彼のことをとてもうらやましく思いました。当然のことながら彼は父親からその店を引き継ぐことになっていましたが、彼としては、営林署員[林務官]になるために、どうしても大学で林業[営林]を学びたいと思いました。彼の父親は、彼がもう直ぐにでもその店を父親から継承しなければならないほど年老いてはいなかったのですが、父親は、彼が学ぶべきなのは経済学だと言っていました。彼が大学の勉強を終えた時、いくつかの国営企業で働き、そこでは物資の調達を担当していました。
旧東ドイツでは、ほとんどすべての企業は国有化され、農業は集団化されていました。しかし、彼の父親は、Torgauで唯一の自立した小売事業家[小売経営者]として貫き通しました。彼は、Handelsorganisation(「国営企業」)との契約書に署名することを拒みました。従って、彼は、仕入れる際の掛け買いができず、クリスマス商戦用の仕入れに支払うお金を知人や親戚から借りなければなりませんでした。玩具業界では、クリスマス前の販売額は一年の総売上高の30%を占めるほど大きいとのことです。従って、その際には彼の父親が必要とする資金はとても多額に上りましたが、クリスマスイブにはすでにまた、利子を付けて全額返済したということです。
今回の課題で紹介された二人とも、正にドイツを体現していると感じました。一人目のProf. Timo Leukefeld は、環境に優しいエネルギー開発で先進的な役割を果たすドイツの象徴的な事業者の一人と言えるでしょうし、二人目のHerr Carl Loebner は、伝統的に子供たちに安全で、安心な、優しい玩具を供給してきたドイツの玩具業界の中でも間違いなくトップの一つに挙げられる玩具店の経営者と言えるでしょうから。
K. K.